なかなか連絡が取れない友達から、久しぶりに連絡が来た

内容は就職先の会社で文化祭みたいなものがあるので来てみないか?
というものだった

会社の中は確かに文化祭という言葉がしっくりとくるような、会社なのに
まるで学校のような雰囲気だった

社員たちの中で若干怪しまれながらも長テーブルのパーティに参加して友達を探したけれど
なかなか見つからないので、受付で呼び出してもらうことにした

しばらく受付前のスペースで待っていると、社長がやってきた
まだまだ若者という言葉の圏内の男の人だった
今日がこんな日だからか、服装もラフであたまには薄手のニット帽を軽く置いている

そこで1時間ぐらい話した後に、場所を変えて外に出た。
友達がまだ来ないということもあったし、社長がひと仕事あるみたいだったので
ついて行った

外と言っても会社の中庭で、その敷地内には外装が裸コンクリートの、ちょうど
デザオナーズマンションを思わせるような建物がいくつか並んでいた。
それぞれの窓には思い思いの明かりが灯っていたけれど、そのうちのほとんどは電球色だった

それを眺めていると、先ほどパーティを行っていた会社のメインの建物から
社員達がぞろぞろとその建物に向かって歩き出した。みんななんだか楽しそうだ。
そしてそれを後押しするかのように、社長が一言

「さぁ、クリエイターたちを起こしにいこう!!」

っと言って、社員たちを盛り上げた。
盛り上げたと言っても、僕の隣で立って声援を送るように一声発しただけだけれども

その言葉には、何かとてもワクワクさせられるものがあった。
どことなく不思議なことであるけど、さもそれが当たり前の様な
そんな感じ。ゾウだって空ぐらい飛ぶさってさも当たり前の顔で言われた時に受ける
あの感覚に似ている

そして、社長とおもちゃについて色々語り、彼が僕の意見に賛同し、同じ悩みを抱えている
ことがわかり、自分の考えていることと同じ考えの人がいることを素直にうれしく感じている
ところに、ようやく友達がやってきた。

友達は来るなり社長のニット帽をひょいっと持ち上げ、楽しそうにしている
社長は少し小言を言うように、訝し気な顔で、
約束の時間より2時間も遅れているだの、彼が来るのを直前ではなくもっと早く伝えて欲しかっただの
言っていたが、友達はそんなのおかまいなしに引き続き楽しそうだし、
社長もそれには慣れっこのようだった

そんな小言の中の、僕が来ることを少しでも早く知りたいと言った社長の台詞に
本当に心のそこから暖かい気持ちになった
自分に会いたいと思ってくれる人がいることは、他に代えようのないうれしいことだ

そう思いながら、建物の中で夢現の状態を楽しんでいるクリエイターたちを想像していた
彼らも今は暖かい気持ちの中で、幸せな時を過ごしているのだろうな


そう感じながら、僕は夢から覚めた